ちょうど2年前の今ごろに、老後資金2000万円問題が話題になりました。
この出来事をきっかけに年金について考えるようになった方も多いのではないでしょうか。人によって金額の差はあれど、多くの人が年金だけで生活していくのは厳しいという点ではとても良い注意喚起になったと思います。
あれから約2年、真剣に年金について考え、実際に行動に移せたでしょうか。
私は当時、フルタイムの会社員でしたが、去年にパートタイマーへ転向。給料は約半減し、将来の年金も少なくなる見込みです。そんな低年収だからこそ、老後について真剣に考えなければなりません。
でも、何の計画も無いままこの道を選んだわけではありません。
年金について学んだ上で計画を立てて実行しているので、老後は問題ないと思っています。
30代の独身(おそらく一生独身)の非正規雇用の女が考える、老後のお金について、低収入でも実現可能な老後資金の形成方法についても紹介します。
ほんの一例として参考にしてください。

そもそも老後資金2000万円問題とは?
端的に言うと、老後生活を送るのに年金だけじゃ足りないよ。ということ。
老後30年間生きるとして、夫婦の老後資金としては2000万円が必要だよ。というものです。
ここで言われている「夫婦」ですが、片働きで、平均的な年収の夫と、その扶養に入っていた妻という設定のようです。
すると疑問が湧いてきますよね。
独身の場合は?
共働きだった場合は?
それぞれどれくらいもらえるのでしょうか。
年金はいくらもらえるのか
一番手っ取り早い方法として、ねんきんネットで調べるという方法があります。
自分でねんきんネットを使って試算した情報などを参考にすると、大雑把ではありますが、会社員で平均的な年収があり40年近く厚生年金の払い込みがあれば、約13〜15万円くらい。
一人暮らしでも、やりくりすればなんとか生活はできるレベルかもしれません。でもかなり慎ましやかな生活を送ることになりそうですよね。
夫婦共働きで、ふたりとも学校卒業から定年まで、正社員フルタイムで走り続けたら、ふたり合わせて二十数万の年金収入が見込めるので、この場合なら年金だけで暮らしていけそうですね。
しかし、2021年の今現在の試算というだけで、今後この金額がもらえるという確約はありません。
日本の年金制度は、現役世代が年金世代を支えるという仕組みなので、今以上に少子高齢化が進んだ未来でどうなるのかは、年金額が下がることはあっても増えることはないのが想像できますね。
自分の年金額を知るには
ざっくりとした金額は上記の通りですが、実際の自分の加入状況などを照らし合わせ、今後の年収の増減も調整して試算したほうが、よりリアルな金額になリます。
それから、全員が全員、20歳からずーっと厚生年金のみの支払いです、というわけでもないはず。
大学(もしくは院)まで行っていれば、20歳から数年は国民年金の支払い期間があるはずですし、退職して無職の期間もあったりしますよね。
私自身も、大学在学中は国民年金、就職して厚生年金、転職して私学共済、退職後しばらくは国民年金、そして現在は厚生年金と、支払う年金の種類も様々でした。もちろん年収もその時々で違うので、収めた金額もずーっと同じではありません。
そういった個々の情報を元に、年金の計算ができるのがねんきんネットです。
よし、調べてみよう!と思ってサイトに行っても、アクセスキーなるものが必要になります。
アクセスキーは、毎年の誕生月に送られてくるハガキに載っていますので、捨てずにとっておいてある人、そして届いて3ヶ月以内が有効期限となっているので、条件が揃った幸運な人は、即日で自分の年金額の試算が可能です。
有効なアクセスキーが無い場合は、ログインIDを発行する必要がありますが、郵送で届くため数日待つことになります。
人によっては面倒に感じて、それがハードルとなって年金について調べたり考えるのをやめてしまうかもしれません。
それでも、現実を知る上でも、是非調べてみてほしいと思います。若い人ほど知ってほしい。
年金受給間際で知ったところで、備えが全くできず、老後破綻する可能性大ですから。
ねんきんネットの活用法
私は今後の人生における働き方を決める上で、ねんきんネットの試算結果を参考にしました。
今後多分結婚もしないし、独りで生きていくとなるとまず老後のお金が心配になります。
どんな働き方を選択すべきか、正社員なのか、パートなのか、年収300万円平均だった場合、400万だった場合。個人事業主になった場合など、それぞれのパターンの年金額を調べるのにフル活用しました。
もちろん、今後の人生の歩み方を決めるのに、年金額だけを見て決めるわけではありません。ただ参考程度に知っておくことは、不安を無くすという意味ではやっておいて損はないと思うのです。
どんな選択でも後悔はしたくないですし、確認は大事です。
私は調べた結果、フルタイム正社員もパートも、年金額はそんなに変わらないならパートで働きつつ、他の収入源を作って私的年金を作ればいっか。という結論に至りました。変わらないって言っても、月に2〜4万なんで、人によっては大きいと感じるかもしれませんが。
その差額以上に、時間のゆとりを持って楽しく過ごしていくことの方が、私個人的には価値を感じています。
このまま今の会社で働くとどれくらいもらえるのか。
転職して年収が上がった場合、下がった場合の年金額はいくらになるのか。
起業して国民年金だけの払い込みの場合、会社員の時とどれくらい差があるのか。
そんな「もしも」を試算してみると、いろんな人生が見えてきます。今後の進む道の選択肢も広がると思います。
老後資産をつくる方法

年金額が分かり、不足額も分かったらあとはその金額をどう作っていくか。
これは自分に合った方法で老後資金を捻出するのがいいと思います。
今の仕事が好きだから、もっと頑張って給料を上げる
今の会社では給料が上がらないから、転職して給料アップを狙う
仕事は今まで通りに、ちょっと節約を頑張ってみる
ちょっと興味のあった副業で、新たな収入源を作る
どれも正解。自分が好きなこと、というかできること・苦ではないものを選んだらいいと思います。
老後資金は数年〜数十年かけて作るため、継続できなければ意味がありません。
毎月ちょっとだけ老後資産形成に回せるお金ができたら、次はきちんと貯まっていくようにひと工夫をします。
すぐに使える口座に置いておくといつの間にか無くなってしまう人は、これをしておく必要があります。
方法1:iDeCo
これも方法はいくつかあると思いますが、iDeCoで毎月定額を積み立てていくよう申し込みをするのが、おすすめな方法の一つです。
これのいい点は、申し込んで購入する商品を選んだらその後は基本放置なので、手間がかからないこと。
それから、原則引き出しができるのは60歳以降となるため、老後資産の形成という点ではこんなにピッタリなものは無いのではないかと思います。
さらには、掛け金が全て所得控除になり、運用益も非課税と、税金の面でも優遇されるので、積み立て貯金をやるよりはお得に資産を増やすことができます。
方法2:つみたてNISA
iDeCoの枠を目一杯使って、さらに余力があれば、つみたてNISAに手を出すのもありだと思います。
iDeCoと違って、掛け金については所得控除にはなりませんが、運用益が20年は非課税になるので、通常の運用をするよりはNISA枠を使っておこなった方がお得になると思います。
税金20%取られるって結構エグいですし。
パート勤務でも年金を増やす方法
老後資産の形成方法は分かった。それでも年金を少しでも増やす方法は無いか。
こう考える人も多いのではないでしょうか。
私が実際におこなっている年金額を増やす方法をまとめてみました。
方法1:社会保険に加入できる会社に就職する
仕事を探すときに、社会保険に加入できる会社を選ぶのは大事です。
社会保険に加入し、年金の支払いを厚生年金にすることで、年金額を増やすことができます。
正社員で雇われていた時は、あまり気にしてこなかったこの社会保険。
パートで職を探し始めてから、社会保険に入れる会社が意外と少ないことに気付かされました。
社会保険に加入したいなら、規模の小さい個人商店などではなく、できるだけ従業員数の多い規模の大きな会社を選ぶのがいいでしょう。
また、会社側の条件以外に、働く側としても週に20時間以上働いているかなど、条件がありますのでその確認も忘れずに。
ちなみに私の勤務先は社会保険加入条件として、週に25時間以上の勤務時間が条件になっていましたので、私は週4日・1日7時間勤務にしています。
方法2:付加保険料を支払う
社会保険に加入できない場合、国民年金に加えて付加保険料400円を払うことで年金額をアップさせることができます。
私も無職時代は不可保険料を上乗せして支払っていました。
ちょっとの負担なので上乗せされる金額は確かにわずかではあるんですが、支払った金額を割と短期間で回収できるので意外とお得な制度です。
この制度、厚生年金支払い時代が長かったため、あまり知らなかったんですよね。
会社を辞めた後、年金の切り替え等を役所でする時、職員の方からの案内は特にありませんでした。
その後、郵送か何かで付加保険料支払い申込書がたまたま手に入って「こんなのあったのか!」と慌てて申請をした覚えがあります。
こんな制度があって、こういう申請ができますよ〜とか、案内してくれたらいいのに。
基本的に役所は「自分で調べて自分に必要なものがあれば申し出をしてくださいね」というスタンスなんでしょう。
対応はとても丁寧で不満はないんですけど。毎日大人数をさばかなければいけないから、こういう事まで案内していたらキリがないというのもわかりますが。
アンテナを張って情報をキャッチできた人だけが得をする社会なんですよね。
方法3:国民年金基金に加入する
これも社会保険に加入できない場合、国民年金保険料に加えて国民年金基金に加入して支払いをして、年金額を増やす方法です。
先程の付加保険料よりも確実に、より多くの金額を上乗せできます。
ただし、付加保険料の支払いと国民年金基金の加入は同時にはできないため、よく吟味して自分に合った方法を選ぶ必要があります。
方法4:4〜6月の給料を増やす
これは社会保険に加入していて厚生年金の場合に限った場合のみ、しかもおまけ的な方法ですが一応紹介します。
そもそも社会保険料の金額は「標準月額報酬」を元に決められています。
「標準月額報酬」は、4・5・6月の平均給与額によって等級が決まり、その年の9月から翌年の8月までの社会保険料が決まるという仕組みです。
○○円〜●●円なら△等級、△等級は健康保険料が××円で厚生年金保険料が□□円、といった感じ。
だから4月から6月の給料が多くなれば標準月額報酬の等級が上がり、社会保険料も上がってしまいますが、年金額も上がる可能性があります。
ただ、同じ等級の金額に収まるような給料の上がり幅だと変わらないこともあります。
そして、自分でコントロールができないこと(閑散期で残業したくても仕事が無いとか、人余りでシフト減らされるとか)もあるので難しいかもしれません。
ちょっと頭の片隅に置いておく程度で、給料のコントロールができるのであれば試しにやってみるといいのかなと思います。
パート勤務+〇〇=老後安泰
パートの給料のみの生活はなかなかに厳しいものがあります。
実際に週4日勤務で働き出して5ヶ月ほど経ちますが、給料は生活費を払ったらほとんど残りません。
まとまった額の支払い(車検、住民税の支払いなど)が発生した月は赤字なので、貯金からの切り崩しが発生するような状況です。
かといって、パートで週5日働いたとしてもプラス3万程度にしかなりません。
そもそも週5日で働けるのであれば正社員になります。そんなに働きたくないからパートになったのです。
3万に釣られて働くものか、という意地もある。月3万て大きいですけどね。
じゃあどうするか、と考えた結果、私は副業をすることにしました。
今現在は、副業で収益が出せるようになり、月に数万円は入るようになりました。
目標としては副業で月10〜15万くらい稼げるようになること。
今収益化できている副業だけでそれを実現するのは難しくても、2〜3つの副業を組み合わせてそれくらいになれば万々歳です。
目標金額には到底足りませんが、副業で稼いだ分はほぼ貯蓄に回せているので、それをiDeCo、つみたてNISAへ回して運用しながら老後資産を形成しています。
副業は、単純に収入が増えること以上に得られるものが多いです。
・収入源が複数になることへの安心感
→どれかダメになっても他の収入の柱は残る
・社会保険、税金面でメリット多い
→副業の社会保険料がかからない、本業の手厚い各種保険制度も利用できる、青色申告特別控除で所得税安くできる
・本業と副業のそれぞれの仕事が息抜きになる
→本業が気乗りしないから副業に集中できる、その逆も然り
副業で稼ぐのは簡単ではありませんが、少なくともフルタイム会社員で辛い思いして仕事してた時よりはマシです。
誰かに急かされるでもなく、自分のペースで一歩一歩進んで行けますし、ノルマも無い。
金額はまだまだ少ないですが、時間を有効に使うこともできている実感があるし、充実しています。
まとめ
結論、パート勤務ではありますが、副業で得た収入を貯蓄へ回せているため、老後の心配はありません。
非正規雇用では年金が不足するのが当たり前という見方が一般的だと思います。低収入だって色々やりようはあります。パートの収入と副業収入を合わせても、しばらくは年収200万円台から抜け出せませんけど、しっかり貯蓄もできてます。
年金は、パート勤務だろうとフルタイム勤務だろうと、ほぼ全員が危機感を持たないといけない問題です。
何億というような、潤沢な資産をすでにお持ちなら別ですが。
年金は、思ったよりもらえないのは事実ですが、それでも老後の主要な収入源になることも確かです。少しでも増やせるなら増やして、私的年金も同時に準備していけば、不安は消えるでしょう。
老後が不安とは言うものの、何がどのくらい不安なのかは人それぞれです。
自分が心配に思っていることは何か、それを解消するためにはどうすればいいのか。
「お金のことってよく分からない」と、ずっと調べないでいると、分からないまま、不安な状態を維持するだけです。
まずはねんきんネットやねんきん定期便で、自分の年金額を調べてみることをおすすめします。
「うわ、少なっ!」って思えば不足分の粛々と準備するだけです。
分からないから不安、ということもあると思います。「そうなんだ」と理解したら不安が解消されるかも。
「年金はどうせ貰えない」と嘆いたり、今の年金世代を羨んでいても年金は増えません。
きちんと調べて行動する、これに尽きます。